2025年9月13日土曜日

ロンドン パル・マル プレイス(Pall Mall Place)

エンジェルコートのパル・マル通り側(南側)入口(その1)
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1936年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第7作目に該る「アラビアンナイトの殺人(The Arabian Nights Murders → 2025年8月30日付ブログで紹介済)」の場合、事件の舞台となるのは、クリーヴランドロウ(Cleveland Row → 2025年9月5日付ブログで紹介済)沿いに建つウェイド博物館(Wade Museum - 大富豪であるジェフリー・ウェイドが10年程前に開設した私立博物館で、中近東の陳列品(Oriental Art)を展示する他、初期の英国製馬車で、素晴らしい逸品も保存)である。

東京創元社から創元推理文庫として出版された
ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の表紙
(カバー:山田 維史)

あなた方もおそらく、ジェフリー・ウェイド老人のことはご存じと存じますが、銀行に膨大な預金を持っているので、有名な男なんです。銀行預金の額に驚いたといっても、老人はそれだけでは喜びません。私はまだ、直接会ったことはないのですが、年はとっても情熱的、というよりもむしろ、エキセントリックなきらいがあるくらいで、<地上最大のショーマン>と呼ばれることに、自分でも満足を感じている様子なんです。そのほかセント・ジェイムズに、かなり大きな地所を持っていまして、そのうちペル・メル・プレイスのあたりには、一ブロックにわたって、貸住宅を建てております。

(ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部(Inspector John Carruthers)

<宇野 利泰訳>


エンジェルコートのパル・マル通り側(南側)入口(その2)
<筆者撮影>


ウェイド博物館を開設したジェフリー・ウェイドが貸住宅を建てたパル・マル プレイス(Pall Mall Place)は、以前、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のセントジェイムズ地区(St. James’s)内にあった。


「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から
セントジェイムズ地区の地図を抜粋。


トラファルガースクエア(Trafalgar Square)から西へ向かう通りは、ヘイマーケット通り(Haymarket)とパル・マル通り(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)の2つに分かれる。


夕暮れが迫るパル・マル通り
<筆者撮影>


ヘイマーケット通りは北上して、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)へと至る。


セントジェイムズ宮殿の建物正面
<筆者撮影>


一方、パル・マル通りは更に西進して、進行方向左手にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)が見えたところで、セントジェイムズストリート(St. James’s Street → 2021年7月24日付ブログで紹介済)とクリーヴランドロウの2つに分かれる。


セントジェイムズストリートの西側から東側を見たところ -
画面右奥斜めに延びる通りは、ジャーミンストリート(Jermyn Street)
<筆者撮影>


セントジェイムズストリートは北上して、ピカデリーサーカスからハイドパーク(Hyde Park → 2015年3月14日付ブログで紹介済)へと向かって西進するピカデリー通り(Piccadilly → 2025年7月31日付ブログで紹介済)に突き当たり、終わっている。


クリーヴランドロウの東端 -
画面手前を右へ行くと、セントジェイムズストリートへ、
そして、画面左手へ戻ると、パル・マル通りへと至る。
なお、画面左側に建っているのは、セントジェイムズ宮殿。
<筆者撮影>


クリーヴランドロウは、セントジェイムズ宮殿の前を通り、更に西へ進み、グリーンパーク(Green Park)の手前で終わっている。


エンジェルコートの途中から
パル・マル通り側(南側)を見たところ
<筆者撮影>


エンジェルコートの途中から
キングストリート側(北側)を見たところ
<筆者撮影>


パル・マル通りの北側には、キングストリート(King Street)が、パル・マル通りに並行して、東西に延びており、東側のセントジェイムズスクエア(St. James’s Square → 2014年12月7日付ブログで紹介済)と西側のセントジェイムズストリートを結んでいる。


エンジェルコート沿いに設置されている彫刻(その1)
<筆者撮影>

エンジェルコート沿いに設置されている彫刻(その2)
<筆者撮影>

西側から順番に、以前は、


(1)クラウンパッセージ(Crown Passage)

(2)エンジェルコート(Angel Court)

(3)パル・マル プレイス


の3本の小道が存在していて、パル・マル通りとキングストリートを南北に結んでいた。


セントジェイムズ劇場(St. James's Theatre)が
エンジェルコートのキングストリート側(北側)に建っていたことを示すプレート
<筆者撮影>

エンジェルコートのキングストリート側(北側)入口横で、
現在、パブ「黄金の獅子(The Golden Lion)」が営業している。

<筆者撮影>


クラウンパッセージとエンジェルコートの2つについては、現在も残っているが、残念ながら、パル・マル プレイスに関しては、周辺の建物が再開発されたことに伴い、現在は残っていない。

そのため、便宜上、エンジェルコートの写真を使用している。


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