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ピカデリー通り(その1) <筆者撮影> |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の長編第2作目で、かつ、は、トマス・ベレズフォード(Thomas Beresford - 愛称:トミー(Tommy))とプルーデンス・カウリー(Prudence Cowley - 愛称:タペンス(Tuppence))の記念すべきシリーズ第1作目に該る「秘密機関(The Secret Adversary)」(1922年)の冒頭、第一次世界大戦(1914年ー1918年)が終わり、世界が復興へと向かう中、ロンドンの地下鉄ドーヴァーストリート駅(Dover Street Tube Station / 現在の地下鉄グリーンパーク駅(Green Park Tube Station → 2025年7月30日付ブログで紹介済))のドーヴァーストリート(Dover Street → 2025年7月28日 / 7月29日付ブログで紹介済)出口において、昔馴染みのトミーとタペンスは、偶然再会する。
二人は、お互いに戦後の就職難に悩まされていた。トミーの方は、大戦中の1916年に負傷しており、一方、タペンスの方は、大戦中ずーっと、ボランティアとして、様々な形で働いていたのである。
‘Not seen you for simply centuries,’ continued the young man. ‘Where are you off to? Come and chew a bun with me. We’re getting a bit unpopular here - blocking the gangway as it were. Let’s get out of it.’
The girl assenting, they started walking down Dover Street towards Piccadilly.
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ピカデリー通り(その2) <筆者撮影> |
「まるで何世紀も、きみと会わなかった気がするよ」青年は続けた。「いったいどこに行くんだい?お茶でもどう?立ち話は通行の邪魔だから、どこかに行こうよ」
若い女性のほうが賛成したので、二人はドーヴァー・ストリートをピカデリーにむけて歩きだした。
(嵯峨 静江訳)
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ピカデリー通り(その3) <筆者撮影> |
日本の株式会社 早川書房から出ているクリスティー文庫47「秘密機関」における嵯峨 静江氏による訳では、「ピカデリー」と言うやや曖昧な表現になってるが、地下鉄ドーヴァーストリート駅のドーヴァーストリート出口で偶然再会した昔馴染みのトミーとタペンスの二人が向かったのは、「ピカデリー通り(Piccadilly)」だと考えられる。
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ピカデリー通り(その4) <筆者撮影> |
ピカデリー通りは、ピカデリーライン(Piccadilly Line)とベイカールーライン(Bakerloo Line)の2線が乗り入れる地下鉄ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus Tube Station)とピカデリーラインが停まる地下鉄ハイドパークコーナー駅(Hyde Park Corner Tube Station → 2015年6月14日付ブログで紹介済)を東西に結ぶ約1マイルの幹線道路である。
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ピカデリー通り(その5) <筆者撮影> |
ピカデリー通りの北側には、シティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のメイフェア地区(Mayfair)が、また、ピカデリー通りの南側には、東から同区のセントジェイムズ地区(St. James’s)、そして、グリーンパーク(Green Park)が広がっている。
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ピカデリー通り(その6) <筆者撮影> |
ピカデリー通り自体、中世の頃より主要な幹線道路として発展。
1611年ー1612年頃、仕立屋であるロバート・ベイカー(Rober Baker)が、周辺の土地を購入。
ロバート・ベイカーは、「Piccadilly / pickadill」と呼ばれるレース付きのえり(collar)を製造 / 販売して、これが大成功をおさめ、通り沿いに自分の住居や店舗を含む建物を建設。
これに因んで、この通りは「ピカデリー通り」と呼ばれるようになる。
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ピカデリー通り(その7) <筆者撮影> |
ピカデリー通り沿いには、
(1)北側 / ル・メリディアン・ピカデリー・ホテル(Le Meridien Piccadilly Hotel → 2014年10月4日付ブログで紹介済)
夕闇に浮かぶル・メリディアン・ピカデリー・ホテル <筆者撮影> |
(2)南側 / セントジェイムズ教会(St. James’s Church → 2018年10月13日付ブログで紹介済)
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ピカデリー通りの北側から見たセントジェイムズ教会 <筆者撮影> |
(3)南側 / フォートナム&メイソン(Fortnum & Mason)
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ピカデリー通りの北側から見たフォートナム&メイソン <筆者撮影> |
(4)北側 / 王立芸術院(Royal Academy of Arts)
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正面奥に見える建物が、 王立芸術院が入っているバーリントンハウス(Burlington House) <筆者撮影> |
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1769年に開校した王立芸術院の250周年を記念して、 英国のロイヤルメールが2019年に発行した記念切手の1枚 |
(5)南側 / ピカデリーアーケード(Piccadilly Arcade → 2016年4月10日付ブログで紹介済)
ピカデリー通りの北側から見たピカデリーアーケードの出入口 <筆者撮影> |
(6)北側 / バーリントンアーケード(Burlington Arcade → 2016年5月20日付ブログで紹介済)
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ピカデリー通りの南側から見たバーリントンアーケードの出入口 <筆者撮影> |
(7)南側 / リッツ ロンドン(The Ritz London → 2025年7月2日 / 7月14日付ブログで紹介済)
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ピカデリー通りの北側から見たリッツ ロンドン <筆者撮影> |
(8)グリーンパーク(Green Park)
等、数多くの観光名所が点在している。
なお、在英国日本国大使館(Embassy of Japan in the UK)も、ピカデリー通りの北側に、グリーンパークを望む場所に建っている。

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