2025年6月1日日曜日

コナン・ドイル作「瀕死の探偵」<英国 TV ドラマ版>(The Dying Detective by Conan Doyle )- その2

ジェレミー・ブレットがシャーロック・ホームズとして主演した
英国のグラナダテレビ制作「シャーロック・ホームズの冒険」の
DVD コンプリートボックス2巻目の裏表紙


シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、43番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1913年12月号に、また、米国の「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1913年11月22日号に掲載されたサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「瀕死の探偵(The Dying Detective → 2025年5月5日 / 5月21日付ブログで紹介済)」は、英国のグラナダテレビ(Granada Television Limited)が制作した「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1984年ー1994年)において、第6シリーズ(The Memoirs of Sherlock Holmes)の第2エピソード(通算では第37話)として、TV ドラマとして映像化され、英国では1994年に放映されている。


コナン・ドイルの原作の場合、物語は次のようにして始まる。

ジョン・H・ワトスンが結婚し、シャーロック・ホームズとの共同生活を解消してから、2年が経過していた。

11月の霧がかかって薄暗い午後、ベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)の家主であるハドスン夫人(Mrs. Hudson)が、ワトスンの家を訪れる。

ハドスン夫人曰く、ホームズが何か訳の分からない病に罹患して、「ここ3日間でどんどん衰弱して、瀕死の状態なのだ(’He’s dying, Dr Watson.’)。」と言う。更に、今朝、ハドスン夫人が「ホームズさんの許可があろうとなかろうと、今直ぐ、医者を呼びに行く。」と告げると、ホームズは、「それじゃ、ワトスンを呼んでくれ。」と答えたのだった。



一方、グラナダテレビが製作したTV ドラマ版の場合、全体で50分程ある物語のうち、始まりから35分位までの間は、オリジナルの脚本になっており、コナン・ドイルの原作に到るまでの事件の経緯について、詳細に描くことで、原作に膨らみを持たせていると言える。


Oxford and Lombard Bank の重役であるヴィクター・サヴィジ(Victor Savage)は、仕事をそっちのけにして、詩人になることを夢見て、詩作の想像力を高めると信じ込み、阿片窟通いが続いていた。

今日もまた、ジョン・ゲッドグレイヴ(John Gedgrave)なる人物に誘われ、ヴィクター・サヴィジは阿片窟を訪れ、殆ど阿片中毒の状態になりかけていたのである。


朝起きて、夫のヴィクター・サヴィジが居ないことに、妻のアデレイド・サヴィジ(Adelaide Savage)は気付く。寝室のテーブルの上には、真珠のネックレスと「Forgive me(許してほしい)」と書かれたメモを、ヴィクター・サヴィジは残していた。

犬2頭を連れて、階下へと降りてきたアデレイド・サヴィジは、既に朝食を済ませていたカルヴァートン・スミス(Culverton Smith:アマチュア病理学者)に対して、「夫はどこへ行ったのか?」と尋ねる。カルヴァートン・スミスによる「私が関知するようなことではない。」と言う答えに、2人の間は、険悪な雰囲気となる。

コナン・ドイルの原作の場合、カルヴァートン・スミスとヴィクター・サヴィジの関係は、「伯父と甥」の関係にあったが、英国 TV ドラマ版の場合、「従兄弟同士(従兄と従弟)」と言う設定に変更されている。


結婚して、ベーカーストリート221B を離れていたワトスンが、ホームズの元を訪れる。ワトスンは、出迎えたハドスン夫人(Mrs. Hudson)に対して、「10日ぶり」だと告げている。

一方、ホームズは、自分の部屋で何かの実験中で、窓から外を覗くと、アデレイド・サヴィジがベーカーストリート221B 対岸の通りを行ったり来たりしているのが見えた。


意を決したアデレイド・サヴィジが、ホームズの元を相談に訪れた。

「銀行の重役である夫(ヴィクター・サヴィジ)が、詩人を夢見るあまり、阿片窟に入り浸るようになって、仕事への情熱が失せ、アヘン中毒になりかけている。」と、アデレイド・サヴィジは訴えるものの、当初、ホームズは「これは、ワトスンが対応すべき事件だ!」と答えて、途中だった実験に戻ろうとする。

アデレイド・サヴィジが「これは、自分の利益のために、従兄のカルヴァートン・スミスが、夫を唆しているからだ。」と言う疑いを呈すると、ホームズは途端に彼女の話に興味を示し始める。ホームズは、カルヴァートン・スミスが、東洋で医学上の重要な発見をしたことを知っていたのである。


ホームズとワトスンは、アデレイド・サヴィジに晩餐会へと招待される。

正装して、ヴィクター / アデレイド・サヴィジ夫妻のサマリーハウス(Somerleigh House)に到着した2人は、同じく晩餐会に招かれていたカルヴァートン・スミスと玄関口で邂逅し、ホームズとカルヴァートン・スミスは、早くもお互いに牽制し合った。

晩餐会には、ホームズ、ワトスンとカルヴァートン・スミスの他にも、数名が出席。

晩餐会中も、ホームズとカルヴァートン・スミスの間の牽制は続く。


晩餐会が終わり、女性陣は別室へ移動し、お喋りに興じる。

一方、男性陣はカーペット滑りの余興を始め、招待主であるヴィクター・サヴィジの番となった。ヴィクター・サヴィジは、上手い具合にカーペット滑りを行い、皆に対して勝ち誇った態度を見せたが、突然倒れてしまう。

そして、ヴィクター・サヴィジは、馬車に乗せられて、病院へと運ばれるものの、数日後に亡くなってしまったのである。


男性陣によるカーペット滑りの余興中、ホームズは、彼らから離れて、サヴィジ邸内を密かに彷徨いていた。

その時、2階の廊下において、サヴィジ夫妻の幼い娘であるマリーナ・サヴィジ(Marina Savage)が、母のアデレイド・サヴィジに対して、「ダディー(ヴィクター・サヴィジ)は、夕食前から身体の具合が悪そうだった。」と訴える。

丁度、階段のところを通りかかったホームズが、聞き耳を立てていたのである。


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