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| 第20話「スタイルズ荘の怪事件」が収録された エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 2 の裏表紙 |
英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第20話(第2シリーズ)として、1990年9月16日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affair at Styles)」(1920年)の TV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。
(1)
<原作>
第一次世界大戦(1914年ー1918年)中に負傷したアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings - 30歳 → 2025年10月12日付ブログで紹介済)は、英国に帰還する。
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| アーサー・ヘイスティングス大尉は、 ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立つ エルキュール・ポワロの左斜め後ろに居る。 <筆者撮影> |
1ヶ月間の負傷休暇をもらったヘイスティングス大尉は、近親者が居ないため、休暇をどう過ごそうか悩んでいたところ、旧友であるジョン・キャヴェンディッシュ(John Cavendish - 45歳)に偶然再会する。
ジョン・キャヴェンディッシュの招きにより、ヘイスティングス大尉は、エセックス州(Essex)にあるスタイルズ荘(Styles Court)を訪れることになった。ヘイスティングス大尉は、少年の頃、スタイルズ荘に何度か滞在したことがあったのだ。
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| ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の右下に設置されているガラスケース内の後列右端に、 スタイルズ荘の模型が置かれている。 <筆者撮影> |
<英国 TV ドラマ版>
第一次世界大戦中に負傷したアーサー・ヘイスティングス中尉(Lieutenant)は、病院において、他の負傷兵に混じり、戦争記録映画を見ているところから、物語が始まる。
そこへ、彼の旧友であるジョン・キャヴェンディッシュが訪ねて来る。そして、ジョン・キャヴェンディッシュは、ヘイスティングス中尉をスタイルズ荘へ招待した。
なお、ジョン・キャヴェンディッシュがヘイスティングス中尉を訪ねて来た場面は、セントバーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital → 2014年6月14日付ブログで紹介済)の北翼(North Wing)にある吹き抜け階段において撮影されているので、次回、詳しく紹介する予定。
(2)
<原作>
スタイルズ セントメアリー駅(Styles St. Mary Station)に到着したヘイスティングス大尉を、ジョン・キャヴェンディッシュは車で出迎えて、駅から2マイル離れたスタイルズ荘へと向かう。
その途中の出来事については、特に言及されていない。
<英国 TV ドラマ版>
スタイルズ セントメアリー駅からスタイルズ荘へ向かう途中、ジョン・キャヴェンディッシュとヘイスティングス中尉が乗った車は、馬に乗ったレイクス夫人(Mrs. Raikes / 近所の農場に住む未亡人で、メアリー・キャヴェンディッシュから、夫のジョンと不倫していると疑われている)を追い抜いている。
(3)
<原作>
スタイルズ荘に到着したヘイスティングス大尉は、
(A)場所:屋敷の前 - エヴリン・ハワード(Evelyn Howard / エミリー・イングルソープの話相手(住み込みの婦人)- 愛称:エヴィー・ハワード(Evie))
(B)場所:庭 - メアリー・キャヴェンディッシュ(Mary Cavendish / ジョン・キャヴェンディッシュの妻)
(C)場所:庭(フランス窓経由、外へ出て来た)- エミリー・イングルソープ(Emily Inglethrop / スタイルズ荘(Styles Court)の持ち主)
(D)場所:庭(フランス窓経由、外へ出て来た)- アルフレッド・イングルソープ(Alfred Inglethrop / エミリー・イングルソープが再婚した年下の夫)
(E)場所:庭(帰宅したところ)- シンシア・マードック(Cynthia Murdoch / エミリー・イングルソープの友人の孤児で、現在は、彼女の養子になっている。薬剤師として勤務。)
の順に会い、会話を交わす。
ジョン・キャヴェンディッシュに部屋へ連れて行かれたヘイスティングス大尉は、窓からローレンス・キャヴェンディッシュ(Lawrence Cavendish / エミリー・イングルソープの義理の息子(弟))を見かけているが、特に会話を交わしていない。
<英国 TV ドラマ版>
スタイルズ荘に到着したヘイスティングス中尉は、
(A)場所:屋敷の前 - エヴリン・ハワード
(B)場所:屋敷内 - エミリー・イングルソープ
(C)場所:屋敷内 - アルフレッド・イングルソープ
(D)場所:庭 - メアリー・キャヴェンディッシュ
(E)場所:庭(帰宅したところ)- シンシア・マードック
の順に会い、会話を交わす。
なお、ローレンス・キャヴェンディッシュに関しては、映像上、特に言及されていない。
(4)
<英国 TV ドラマ版>
スタイルズ荘に到着した日の夕食の席上、ヘイスティングス中尉は、ベルギーにおいて、エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot → 2025年10月12日付ブログで紹介済)と知り合った経緯について、皆に語っている。
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| エルキュール・ポワロは、 ジグソーパズル「エルキュール・ポワロの世界」の中央に立っている。 <筆者撮影> |
<原作>
スタイルズ荘に到着した日の夕食の席上、ヘイスティングス大尉は、エルキュール・ポワロに関して、話題にしていない。
(5)
<原作>
夕食後、スタイルズ荘の近くに住む著名な毒理学(toxicologist)で、メアリー・キャヴェンディッシュの友人であるバウアスタイン博士(Dr. Bauerstein)が、エミリー・イングルソープの元を訪れる。
<英国 TV ドラマ版>
英国 TV ドラマ版の場合、ウィルキンズ医師(Dr. Wilkins / エミリー・イングルソープの主治医で、毒物のの研究家)と役柄が重複するためなのか、バウアスタイン博士は登場しない。
(6)
<原作>
バウアスタイン博士がエミリー・イングルソープを訪ねて来た後、ジョン・キャヴェンディッシュは、ヘイスティングス大尉をスタイルズ セントメアリー村まで散歩に連れ出す。
散歩の帰り道、2人はレイクス夫人とすれ違い、挨拶を交わしている。
<英国 TV ドラマ版>
英国 TV ドラマ版の場合、このような場面はない。
スタイルズ セントメアリー駅からスタイルズ荘へ向かう途中、ジョン・キャヴェンディッシュとヘイスティングス中尉が乗った車が、馬に乗ったレイクス夫人を追い抜く場面で代用されていると思われる。




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