2024年8月3日土曜日

ロンドン バークリースクエア(Berkeley Square)

バークリースクエアガーデンズ(Berkeley Square Gardens)の内部(その1)
<筆者撮影>


作家 / 編集者であるニック・カイム(Nick Kyme)作「シャーロック・ホームズ / 遺産(Sherlock Holmes : The Legacy of Deeds → 2024年7月8日 / 7月14日 / 7月19日 / 7月23日付ブログで紹介済)」(2017年)の場合、ウェリントンストリート(Wellington Street → 2024年7月22日付ブログで紹介済)沿いにあるグレイスンギャラリー(Grayson Gallery)に勤める学芸員のアシスタントであるエドムンド・ガレット(Edmund Garret)と言う男性が、ベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)のシャーロック・ホームズの元を訪れて、「殺人事件が起きたので、ギャラリーまで一緒に来てほしい。」と依頼。

彼に連れられて、グレイスンギャラリーに着いたホームズとジョン・H・ワトスンの2人がギャラリー内に入ると、驚くことに、床の上にギャラリーのパトロンである30名以上の男女が死んでいたのである。その中には、学芸員のアーサー・マボット(Arthur Mabbot)と2名のウェイターも含まれていた。全員、青酸ガスにより殺害されたと、ホームズは推理する。

(ちなみに、グレイスンギャラリーは、架空の場所である。)


バークリースクエアガーデンズの内部(その2)
<筆者撮影>

ホームズは、30名以上の男女の死体の前に掛かっている絵画が気になった。それは、死神(Death)と思われる骸骨が描かれた「不死の男(Undying Man)」と言う題で、作者は「アイヴァー・ラザラス(Ivor Lazarus)」となっていた。


バークリースクエアガーデンズの内部(その3)
<筆者撮影>

ホームズとワトスンは、ベイカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)の一人をパブに呼び出して、展覧会の主催者で、メイフェア地区(Mayfair)に住む D. G. の住所を聞き出すと、翌朝、その住所であるバークリースクエア(Berkeley Square)へと向かった。

そして、2人と面会した D. G. こと、ダミアン・グレーヴス(Damian Graves)は、「アイヴァー・ラザラスは、自分のペンネームだ。」と答える。更に、ダミアン・グレーヴスは、「自分はグレイスンギャラリーのパトロンであるが、ダミアン・グレーヴスとアイヴァー・ラザラスをキチンと使い分けており、アイヴァー・ラザラスの作品の展覧会を行う場合、ダミアン・グレーヴスである自分は、いつも出席していない。」と付け加えるのであった。


バークリースクエアガーデンズの内部(その4)
<筆者撮影>


ダミアン・グレーヴスが住んでいたバークリースクエアは、ロンドンの中心部であるウェストミンスター区(City of Westminster)のメイフェア地区にある広場である。


バークリースクエアガーデンズの内部(その5)
<筆者撮影>


バークリースクエアは、18世紀中頃、英国の建築家であるウィリアム・ケント(William Kent:1685年ー1748年)により設計された。

バークリースクエアの名前は、1733年まで近くに建っていたバークリーハウス(Berkeley House)をロンドン滞在時の邸宅として使用していたグロスター州(Gloucestershire)の貴族であるバークリー家(Berkeley family)の名に由来している。


バークリースクエアガーデンズ内に設置されているオブジェ -
POP by Ms. Isabel H. Langtry /
Sculptor and Principal of Hampstead School of Art
<筆者撮影>


バークリースクエア内にある樹木は、1789年にロンドン市内に植えられた最古の樹木とのこと。ということは、樹齢200年を優に超えていることになる。

そう言った経緯もあり、バークリースクエアは、現在、「第二級建造物(Grade II listed)」に指定され、保全管理されている。


バークリースクエアガーデンズ内に設置されている女神像 -
英国の政治家である Henry Petty-Fitzmaurice, 3rd Marquess of Lansdowne
(1780年ー1863年)が設置。

<筆者撮影>


バークリースクエアは、元々、住宅街であったが、現在住宅として使用されている建物は非常に少なく、オフィス、会員制クラブ、レストランや外車販売会社等が入っているケースが多い。そのため、バークリースクエアを囲む住宅スペースが不動産市場に出ることは非常に稀であり、不動産価格を大きく押し上げる要因となっている。


バークリースクエアガーデンズの外縁に設置されているオブジェ -
The Berkeley Square TRex by David Aaron
<筆者撮影>


バークリースクエア48番地には、英国の政治家、軍人、従軍記者、作家で、元首相でもあるウィンストン・レナード・スペンサー=チャーチル(Sir Winston Leonard Spencer-Churchill:1874年ー1965年)が幼少期に住んでいた。


バークリースクエア50番地の建物 -
以前に入居していたアンティーク本屋「Maggs Brothers Ltd.」は、
ベッドフォードスクエアへ既に移転済のため、現在とは異なる。
<筆者撮影>

また、バークリースクエア50番地には、以前、「マッグス兄弟のアンティーク本屋(Maggs Brothers Antiquarian Booksellers)」が入居しており、当建物の屋根裏部屋から身を投げて自殺した若い女性の幽霊がその屋根裏部屋に現れると一般に言われていた。

英国の外務大臣や首相を務めた政治家であるジョージ・カニング(George Canning:1770年ー1827年)がこの建物で生涯を過ごしたが、それ以前から誰も居ない屋根裏部屋で変な物音がしたりしていたとのこと。

その後、幽霊を確かめに屋根裏部屋で一夜を過ごした人々が、何らかの恐怖で死亡したり、精神に異常をきたしたりする事件が発生したが、同アンティーク本屋が1930年代に入居した以降は、今のところ、そういった怪奇現象は起きていないそうである。

なお、現在、同アンティーク本屋は、バークリースクエア50番地には入居しておらず、ベッドフォードスクエア(Bedford Square → 2024年6月21日 / 6月26日付ブログで紹介済)へ移転済。 


ベッドフォードスクエアは、
多くの観光客で賑わう大英博物館の近くであるものの、
週末でも、閑静な場所である。
<筆者撮影>


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