2024年5月27日月曜日

ロバート・J・ハリス作「悪魔の業火」(The Devil’s Blaze by Robert. J. Harris)- その1

英国の Birlinn Ltd から、Polygon Book として
2022年に刊行されている
 ロバート・J・ハリス
作「悪魔の業火」の
ペーパーバック版表紙

(Cover images : Alamy Stock Photo /
Cover design by Abigail Salvesen

ロバート・J・ハリス(Robert. J. Harris:1955年ー)は、スコットランドのダンディー(Dundee)出身の学者 / 作家である。なお、ダンディーは、北海(North Sea)に面するテイ湾(Firth of Tay)の北岸に位置しているスコットランドで人口4番目の都市となっている。

彼は、スコットランドのセントアンドリュース大学(University of St. Andrews)を卒業した後、学者となり、1990年代から作家活動を開始。


ロバート・J・ハリスは、特に、子供向けのファンタジー小説や歴史小説を著作しており、米国のファンタジー小説 / SF 小説家であるジェイン・ハイアット・ヨーレン(Jane Hyatt Yolen:1939年ー)との共著を2000年代に発表していることで、よく知られている。

また、彼は、ファンタジーボードゲームの「タリスマン(Talisman)」とその続編の「ミスガルディア(Mythgardia)」を発案している。


ロバート・J・ハリスは、米国ペンシルヴァニア州(Pennsylvania)出身のファンタジー小説家であるデボラ・ターナー・ハリス(Deborah Turner Harris:1951年ー)と結婚して、現在、スコットランドに在住。


ロバート・J・ハリスは、第二次世界大戦(1939年ー1945年)時に時代設定を置いたシャーロック・ホームズシリーズを刊行しており、今回は、ロバート・J・ハリス作ホームズシリーズの第1作目に該る「深紅色の研究(A Study in Crimson → 2024年5月6日 / 5月12日 / 5月16日付ブログで紹介済)」(2020年)に続いて、第2作目である「悪魔の業火(The Devil’s Blaze)」(2022年)について、紹介したい。


著者のロバート・J・ハリスは、1942年に公開された米国映画「シャーロック・ホームズと秘密兵器(Sherlock Holmes and the Secret Weapon)」を観て、着想を得た、とのこと。

なお、当該映画において、トランスヴァール共和国ヨハネスブルグ出身のイングランド人で、俳優のベイジル・ラズボーン(Basil Rathbone:1892年ー1967年)がシャーロック・ホームズを、そして、英国の俳優であるナイジェル・ブルース(Nigel Bruce:1895年ー1953年)がジョン・H・ワトスンを演じている。また、英国の俳優であるライオネル・アトウィル(Lionel Atwill:1885年ー1946年)がホームズの宿敵であるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)として出演している。

ベイジル・ラズボーンがホームズ役を務める米国映画の第1作目に該る「シャーロック・ホームズと恐怖の声(Sherlock Holmes and the Voice of Terror)」(1942年)が大ヒットして、ホームズの映画は、1946年まで、第2作目である「シャーロック・ホームズと秘密兵器」を含む全12作が制作された。その結果、ホームズ役を演じたベイジル・ラズボーンは、米国において、最高のシャーロック・ホームズ俳優として高名である。


ホームズは、ワトスン達の協力を得て、1942年8月から10月にかけてロンドン内で発生し、「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」の再来と言われた「血塗れジャック(Crimson Jack)」事件を解決した。

その際、ホームズとワトスンの協力者として、事件の解決に活躍した米国の女性ラジオジャーナリストであるゲイル・プレストン(Gail Preston)は、妻のメアリー(Mary)を既に亡くしていたワトスンとの間で良い関係を築きつつあったが、雇用主である NBC ラジオネットワーク(NBC radionetwork)によって、米国へと呼び戻されてしまい、ワトスンは、寂しい思いをしていた。


翌年の1943年5月19日、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)のホームズとワトスンの元へ、スコッとヤードのジョージ・レストレード警部(Inspector George Lestrade)が、以下の事件相談者を連れて来た。


*ウィンスロー・バステイブル(Mr. Winslow Bastable)- ケント州(Kent)コブルストーン村(Cobblestone)に在住

*オリヴァー・ポール巡査部長(Detective Sergeant Oliver Pole)- 

ケント州警察の警官


ウィンスロー・バステイブルによると、最近亡くなった叔父のランドルフ・バステイブル(Randolph Bastable)から遺贈されて、彼、彼の妻(リリー(Lily))、彼の従兄弟(ジェイムズ(James)とハーバート(Herbert)) / 従姉妹(クラリス(Clarice))、そして、叔父のユニウス(Junius)の6人が一緒に住み始めた屋敷ポプラーズ(The Poplars)において、昨夜発生した事件につき、非常に奇妙なことがあるので、相談したい、とのことだった。 


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