2023年7月6日木曜日

<第1200回> コナン・ドイル作「ライオンのたてがみ」<小説版>(The Lion’s Mane by Conan Doyle ) - その2

地下鉄ベイカーストリート駅(Baker Street Tube Station)の
ジュビリーライン(Jubilee Line)のプラットフォームにある壁画で、
「ライオンのたてがみ」も、その一つとして採用されている。
画面手前から、海岸において、何者かに襲われた
フィッツロイ・マクファースン青年、
シャーロック・ホームズ、そして、職業訓練学校を経営している
ハロルド・スタックハースト。

諮問探偵業から引退して、ロンドンからサセックス州(Sussex)のサウスダウンズ(South Downs)へとやって来たシャーロック・ホームズは、英仏海峡(Channel)を望むことができる海辺の一軒家に居を構えていた。


1907年7月末、暴風雨(severe gale)が去った翌朝、ホームズが散歩をしていると、ホームズの一軒家から半マイル程離れた場所において、「ザ・ゲイブルズ(The Gables)」と言う職業訓練学校を経営しているハロルド・スタックハースト(Harold Stackhurst)と出会う。

「近くの海岸へ泳ぎに行くところだ。」と話すハロルド・スタックハーストと一緒に、ホームズが海岸に着くと、知り合いのフィッツロイ・マクファースン(Fitzroy McPherson)青年が、酔っ払いのようによろめきながら歩いて来て、地面にばったりと倒れた。ホームズ達が、フィッツロイ・マクファースンの元に駆け寄ると、彼は既に瀕死の状態で、「ライオンのたてがみ(the lion’s mane)」と言う謎の言葉を発すると、息を引き取った。ホームズ達が調べてみると、フィッツロイ・マクファースンの背中には、細い針金の鞭で強く打たれたようなみみず腫れの跡が残っていた。

ちょうど、そこへハロルド・スタックハーストが経営している職業訓練学校の数学講師であるイアン・マードック(Ian Murdoch)が姿を現す。ホームズは、イアン・マードックに対して、フルワース(Fulworth)の警察署へ通報するよう、頼む。


ホームズは、フィッツロイ・マクファースンが亡くなった海岸には、他に誰も居ないことを確認した。また、側の岩の上に、フィッツロイ・マクファースンの畳まれたタオルが置かれていて、乾いたままだった。そうすると、フィッツロイ・マクファースンは、遊泳を始める前に、何者かに襲われたのだと、ホームズは推理する。


イアン・マードックが呼んできたアンダースン巡査(Constable Anderson)は、この事件は自分の手に余ると考えて、現場に居たホームズに、助言を求めるのであった。

亡くなったフィッツロイ・マクファースンが羽織っていたバーバリー(Burberry)のコートのポケットをホームズが調べると、そこには、ハンカチ、ナイフや折り畳みの名刺入れが入っており、名刺入れからは、モーディー(Maudie)と言う女性の筆跡でも走り書きのメモが見つかった。


暫くして、ホームズの家を訪れたハロルド・スタックハーストによると、亡くなったフィッツロイ・マクファースンの名刺入れに入っていたメモを書いた人物は、フルワースに住むモード・ベラミー(Miss Maud Bellamy)で、フィッツロイ・マクファースンと恋愛関係にあったことが判った。また、彼女は、フルワースの船や海岸の着替え小屋等を全て所有しているトム・ベラミー(Tom Bellamy)の娘で、父親のトム・ベラミーは、元々、漁師だったが、今は、息子のウィリアム(William)と一緒に、フルワースで事業を経営していて、かなりの資産家である、とのことだった。


ホームズは、ハロルド・スタックハーストを伴って、フルワースにあるベラミー家の「ヘイヴン荘(The Haven)」へと出かけたが、門のところで、2人は、イアン・マードックに鉢合わせとなる。ハロルド・スタックハーストは、イアン・マードックに対して、「ベラミー宅で何をしていたのか?」と問い詰めると、押し問答になってしまい、最終的に、イアン・マードックは、職業訓練学校を退職する破目に陥ってしまった。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1926年12月号に掲載された挿絵(その2) -
シャーロック・ホームズは、ハロルド・スタックハーストを伴い、
ベラミー家が住むフルワースの「ヘイヴン荘」を訪れて、
亡くなったフィッツロイ・マクファースンの恋人だった
モード・ベラミーから、直接、話を聞く。
       画面手前: ハロルド・スタックハースト

       画面中央: モード・ベラミー(左側の人物)

             シャーロック・ホームズ(右側の人物)

        画面奥: ウィリアム・ベラミー(左側の人物 - モードの兄)

             トム・ベラミー(右側の人物 - モードの父)

         挿絵: ハワード・ケッピー・エルコック

(Howard Keppie Elcock:1886年ー1952年)


ベラミー家を訪れたホームズ達は、亡くなったフィッツロイ・マクファースンの恋人だったモード・ベラミーから、直接、話を聞くことになった。

彼女によると、亡くなったフィッツロイ・マクファースンとは、既に結婚の約束を交わしていて、今夜(火曜日)、浜辺で会う予定だった、とのことだった。また、彼女は、熱心な求婚者が何人か居たこと、そして、その中には、イアン・マードックも含まれることを認めたのである。


不可解な行動をとるイアン・マードックの経歴を洗う必要性を感じたホームズ達は、ベラミー家を後にした。


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