現在の住所表記では、かつて住宅金融専門会社であるアビー・ナショナル(Abbey National)の本社が入居していたビル「アビーハウス(Abbey House)」が、シャーロック・ホームズとジョン・ワトスンが共同生活をしていた、かの「ベイカーストリート221B」に該る。前にも述べた通り、近年、アビーハウスは上部の白い塔だけを残して、全面的に建て替えられ、今はフラットに様変わりしてしまった。現在、この建物の番地は219番地となっていて、221番地の表示はない。
サー・アーサー・コナン・ドイルがホームズ作品を執筆していた当時、「ベイカーストリート221B」は架空のものであった。現在、地下鉄ベイカーストリート駅(Baker Street Tube Station)の前を東西に走るマリルボーンロード(Marylebone Road)に対して、ベイカーストリート(Baker Street)は垂直に、つまり、南北に交差している。ただ、ホームズが活躍した時代(1881年〜1903年)には、マリルボーンロードの北側にある通りは、アッパーベイカーストリート(Upper Baker Street)と呼ばれており、現在の住所表記である「ベイカーストリート221B」は、アッパーベイカーストリート沿いにあった訳で、当時は架空の住所だったということになる。
道路の整備が行われた結果、1930年1月1日にアッパーベイカーストリートはベイカーストリートへと名称が変更されたことに伴い、「ベイカーストリート221B」が実在の住所になったのである。
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