2025年8月18日月曜日

ロンドン バークリーホテル(Berkeley Hotel)- その2

バークリーホテルの建物正面(その1)-
バークリーホテルは、現在、以前のメイフェア地区から
ナイツブリッジ地区(Knightsbridge)へ移転済で、
ナイツブリッジ通り(Knightsbridge)から南へ下ったウィルトンプレイス(Wilton Place)で営業中。
ホテル正面玄関には、バークリーホテルであることを示す表示は全くない。
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1946年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)シリーズの長編第16作目に該る「囁く影(He Who Whispers → 2025年8月2日 / 8月7日 / 8月8日 / 8月12日付ブログで紹介済)」において、歴史学者であるマイルズ・ハモンド(Miles Hammond - 35歳)の宿泊先のであるバークリーホテル(Berkeley Hotel)は、ロンドンの中心部にあるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)メイフェア地区(Mayfair)内に実在したホテルである。



その前身は、ピカデリー通り(Piccadilly → 2025年7月31日付ブログで紹介済)とバークリーストリート(Berkeley Street)の角に建っていた「グロースターコーヒーハウス(Gloucester coffee house)」と呼ばれた場所で、ロンドンから英国西部へ郵便物を運ぶ馬車の御者達の拠点となっていた。


バークリーホテルの建物正面(その2)
<筆者撮影>


その後、「グロースターコーヒーハウス」は、ロンドンから英国西部へ郵便物を運ぶ馬車の御者達、また、英国西部からロンドンへ郵便物を運ぶ馬車の御者達のホテルとして発展して行く。


ナイツブリッジ通りから
バークリーホテルの正面玄関を見たところ。
<筆者撮影>


鉄道の敷設に伴い、1897年、「グロースターコーヒーハウス」は、近くに所在するバークリースクエア(Berkeley Square → 2024年8月3日付ブログで紹介済) / バークリーストリートに因んで、その名前を「バークリーホテル(The Berkeley Hotel)」へ正式に変更。


ストランド通り(Strand → 2015年3月29日付ブログで紹介済)の反対側から見た
サヴォイホテル
<筆者撮影>


ストランド通りに面したサヴォイホテルの玄関上部
<筆者撮影>


1889年にサヴォイホテル(Savoy Hotel → 2016年6月12日付ブログで紹介済)を創業して、1894年にはクラリッジズホテル(Claridge’s Hotel → 2014年12月31日付ブログで紹介済)を買い取った興行主/プロデューサーであるリチャード・ドイリー・カート(Richard D'Oyly Carte:1844年ー1901年)が、1900年にバークリーホテルを買収。


クラリッジズホテルの建物正面の外壁
<筆者撮影>


ブルックストリート(Brook Street → 2015年4月4日付ブログで紹介済)沿いに建つ
クラリッジズホテル
<筆者撮影>


その後、バークリーホテルは、1世紀以上に渡り、サヴォイグループ(The Savoy Group)の一員として営業を続けた。

1920年代に、バークリーホテルは、ロンドンで最初に空調設備を導入し、また、1930年代には、二重窓(double glazing)を装備。


「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から
ナイツブリッジ地区の地図を抜粋。

長年にわたって、ピカデリー通りとバークリーストリートの角で営業してきたバークリーホテルは、1972年、シティー・オブ・ウェストミンスター区ナイツブリッジ地区(Knightsbridge)内にあるウィルトンプレイス(Wilton Place)へ移転。


バークリーホテルの建物正面(その3)-
駐車スペースには、フェラーリ(Ferrari)やブガッティ(Bugatti)等の車が並んでいる。
<筆者撮影>


ニュージーランド出身の英国人であるエドワード・ブライアン・オルーク(Edward Brian O’Rorke:1901年ー1974年)は、建築家として、オリジナルの建物外観維持に努めた。その際、屋上にスイミングプールを備え、それは、ロンドン内のホテルの中で、バークリーホテルだけだった。


ウィルトンプレイスの南側から北方面を見たところ -
画面奥で左右に延びる通りは、ナイツブリッジ通り。
<筆者撮影>


2005年に、サヴォイホテル、クラリッジズホテルやバークリーホテル等を含むサヴォイグループは、アイルランドの投資家によって買収され、現在は、メイボーンホテルグループ(Maybourne Hotel Group)に編入されている。


          

0 件のコメント:

コメントを投稿